2022年7月19日の朝日新聞によると、世論調査の結果、憲法9条に自衛隊を明記することに賛成が51%(反対33%)だったとのこと。
賛成と答えた方の中には、ウクライナ情勢や中国を見て、「最低限、日本を守る努力が必要だ」と思われている方がいるのだろうと思います。
ところが、憲法に自衛隊を明記し、日本の軍事費を2倍にしようという自民党の考えはそうではありません。
いま自民党の議員などが「台湾有事は日本有事」という議論をさかんにしていると、先日、宮本徹衆議院議員に聞きましたが、つまりコレなんだろうと思うのです。
米中が台湾をめぐって軍事衝突した場合、米軍基地がある日本はそれだけでも戦争に巻き込まれる可能性が高いのですが、それ以上に、「米軍を守ることは日本を守ること(集団的自衛権)」の考え方で、中国に宣戦布告することができるようになるのが、「自衛隊明記」の目的なのだろうと思います。
なぜなら、日本の自衛隊が、どんなに高度な装備を持っていても、軍隊ではない以上、米軍と軍事行動をともにすることはできないからです(逆に言うと、通常は軍隊ではないお医者さんやブルドーザーなども米軍と軍事行動をともにすれば軍隊の一部ということになります)。
憲法9条には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書かれていますが、ここに自衛隊を「明記」するとどうなるのか。「自衛隊をのぞく陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とするのか。あるいは「戦力不保持」の記載をなくして、「日本は自衛隊を保持する」とするのか。いずれにしても、現在の「自衛隊は軍隊ではない」という位置づけを変えることが目的でしょう。そこまで含めて、日本の国民が改憲を求めているとはとても思えません。
この世論調査では、「岸田首相に一番力を入れてほしい政策は…」の問いに、①物価対策30%、②社会保障23%、③景気・雇用22%、④外交・安全保障15%、⑤憲法改正はわずか6%というところにもそれが現れています。
また、同調査では軍事費について「今のままがよい」が46%で「増やす方がよい」34%よりも多かったことも重要だと思います。