いよいよ2018年も終わります。
別に1年を振り返ろうと思って書いた記事ではありませんが、先日のエピソードを一つ。
ある方からの質問「赤旗の記事など見ていると、F35という戦闘機が1機100億円と書いてあったり、150億円と書いてあったり、200億円だったり。統一できないの?」
井上「統一できない仕組みになっているんですよ。対外有償軍事援助と言いましてね・・・」
という会話でした。
ざくっと解説すると、いま日本はアメリカからF35という戦闘機を買っていますが、もう少し正確に言うと、「アメリカがF35を開発・生産することに協力(お金を払う)することによって、これが出来上がった時にはその戦闘機を日本にも譲ってもらう」という仕組みです。
そしてF35は、まだ開発段階というべき段階であり(公式には完成したことになっているようですが)、開発が長引くことによって、これから提供されるF35がはたしていくらになるのか、まだ誰もわからないという状況です。
ところが、この契約はいくらにするのかアメリカが決めることになっており、この言い値にしたがうものとされています。
実際にF35の自衛隊への導入は始まっていますが(1機、また1機とやってきて、現在7機)この間、毎年予算化されている金額も年によってまちまちで、たとえば1機の本体価格も100億円~180億円とすごい幅があります(さらに関連費用も含めると1機あたりはゆうに200億円を超えることも)。
さらに今月、F35のこれからの調達計画を100機以上プラスすることにしましたから(中期防)、ますますいったいいくらかかるのか(中期防によると5年間で27兆4700億円の軍事費としているけど、それすらどうなるか)、軍事にはこんなに見通しもなく税金を注ぎ込むのに、国民のくらしは「金がない」と切り捨てばかりなのにまったく対照的です。
質問いただいた方と会話をしていて、自分でも安倍政権の実情を空恐ろしく感じました。安倍政権は軍事予算を増やしつづけて早く今の2倍の10兆円規模にしたいとのぞんでいるとのこと。際限のない軍拡、膨大に膨らむ予算、彼らはそれを追いかけるのに必死で、「後は野となれ山となれ」と思っているのかと感じたのが「空恐ろしさ」の原因でしょう。
その一方で、こうした現状に、軍事力増強を願う立場の人からも憤りの声があがっているという話もあるそうです。
なぜなら、F35のような高価で複雑な機体を調達すれば、機数は少なく、整備などにも時間がかかり、肝心の訓練がなかなかできない状況が生まれるからだそうです。他の「本来必要な」装備にもしわ寄せ的な影響も出るそうです。
変な話ですが、そうした立場の人たちと一致できてしまうほど、安倍政権が行き詰っているということでしょう。
来年は、本当に幅広い方々と共同が広がる年になるでしょう。もはや「革新統一」といった状況ではありません。どこまで幅が広くなるか、そのことに期待したいと思います。
井上たかし