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市は明星大学跡地の取得方針を白紙撤回し、これまでの経緯を市民に説明するべきです

2022年8月24日
日本共産党青梅市議団

青梅市は、2015年に閉鎖された明星大学青梅キャンパスの跡地の購入を検討しています。しかし、跡地購入の目的が不明確であることや、市が示した土地活用の提案内容、費用を含めた購入の進め方などに関して、大きな問題が数多くあると言わざるを得ません。このことから、少なくとも、このまま購入を決定することには、日本共産党青梅市議団としては到底賛成できません。
以下、現時点であきらかになっている具体的な問題点などについて指摘します。

◆明星大学跡地の概要
明星大学跡地(以下、跡地)には、大学の講堂などがそのまま残されています。延べ床面積が3000㎡から6000㎡程度の校舎等が5棟、柔剣道場などを含む体育館、その他施設で建物の総面積は約3万9000㎡です(参考:市内の小中学校校舎の多くが6~7000㎡)。また、跡地には野球場1面、総合運動場(400mトラックとサッカー場)1面、テニスコート6面があり、長渕2丁目、5丁目、9丁目にまたがる広大な山林を含んだ跡地の総面積は約80ヘクタールと広大です。
◆跡地購入の目的と取得後の活用方法について
昨年から市議会では、明星大学跡地の購入について繰り返し質問が出され、市は購入の目的について①市内公共施設の老朽化にそなえる将来の移転用地、②スポーツ施設の活用と説明してきました。
 ①公共施設の移転については、土地が過大であるうえに、市民が利用するにはあまりにも不便な場所です。移転を検討する「案」として示された総合体育館などの公共施設を、このような場所に移転することについては、利便性など考慮すべきことは多岐にわたりますが、具体的な検討は行われていません。②スポーツ施設については、市が「公共施設等総合管理計画」において削減の方針を示していることと整合性がない一方で、跡地の「活用できる」というスポーツ施設についても、市民の需要や取得後に必要になる整備内容・費用など、具体的な検討が行われていません。スポーツ施設を充実させるというのであれば、施設を取得する前に、市として市民の需要等を把握し、市民の意向に沿ったスポーツ施設の総合的な整備方針を定めるべきです。
◆民間活用などの方針について
 市議会では、当初から民間活用の検討などについても意見がありましたが、市は法令上の制限などから公共施設用地以外の利用は「困難」との姿勢を示してきました。ところが、市長は今年になって、突如として民間の活用なども検討する方針を示しました。大学校舎をすべて壊し、広大な土地を公共施設の移転用地とすることについて市民的な理解が得られないと判断したものと思われますが、市長はその理由を説明していません。この方針にもとづく新たな提案内容は「工業用地化」、「道の駅設置」、「農業活用(キノコ栽培など)」で、市が以前から「困難」としてきたものばかりです。「公共施設でも民間でも」と、活用の方針が定まりもしないのに、「跡地を取得する」という方針だけは明確というのであれば、「購入ありき」と指摘せざるを得ません。
◆購入費について
 購入費について、市は「交渉中」と明らかにしませんが、校舎の解体費用が10億円、周辺の土地価格から算定すると土地価格は13億円程度と高額です(この土地価格は未造成地の算定ですが、大学建設時には造成費用だけで32億円かかっています)。
また、現在の維持管理費は8~9000万円/年であり、スポーツ施設は実際に市民が活用する施設にするには、かなりの再整備費がかかることが確実です。資産価値があっても利用価値がない校舎や、大学の「都心回帰」の現状から、購入費は「無償」を含めて低くなることも考えられますが、80ヘクタールの山林を含めた長期的な維持管理費を考慮すると、取得のための購入費だけで判断することはできません。
◆検討するべき他の問題と決定の時期
 これまで指摘してきた問題以外にも、校舎にアスベストが含有されている可能性、大量の廃棄物の処理による環境への影響、所有者の責任として近隣地域への土砂災害対策への対応など検討するべき問題は多岐にわたります。
 購入の決定をする時期は、昨年は、議会や市民の理解を得るために1年はかかるとの認識から「今年の10月までに」と示されていましたが、具体的な検討が進まない中、今年8月には「2022年度末」と新たな考え方が示されました。
 検討するべき様々な問題点について検討が進まないことや、検討する期間が延びていることに、問題の複雑さと難しさが現れています。
◆市民の理解を得られない土地の取得方針は白紙撤回を
この土地は「大学の設置」を条件に市街化調整区域内にもかかわらず開発が許可されたという経緯があり、公共施設など限られた一部の用途以外の利用には非常に高いハードルがあります。このことから、市が跡地をひとたび取得すれば、民間等への売却はままならず、市が保有し続けざるを得なくなります。非常に長期にわたって市政に影響を及ぼす大きな土地の購入は、市民の合意を得ながら慎重に進めるべきものと考えます。
これまで指摘してきたとおり、1年以上も市議会で問題になりながら、活用方針が二転三転し、いまだに不明確であること、市が実現性などの大きな問題のある活用案を提案していること、市民合意を軽視した進め方をしていることなど、多くの不適切な点があることから、日本共産党青梅市議団は、計画を白紙撤回したうえで、跡地購入の動機や市の検討の経緯などの具体的な説明を強く求めるものです。

以上